- あらゆる物の値段が上がっている
- 記録的値上げだった22年を超える23年
- 電気代の値上げにより更に物価が高騰
- 新電力会社の3割が倒産・撤退・契約停止
- 電力会社も赤字が拡大している
- 企業の物価高倒産、前年の3.4倍
- 物価高は今後も続くのか?
- 更に化石燃料が高騰する懸念材料
あらゆる物の値段が上がっている
普段から買い物をする人ほど、より実感があるかと思いますが、今は全ての物の値段が上がっています。インフレによりお金の価値が下がってると言った方が正解かもしれません。
価格が安定している物価の優等生と言われた卵価格の推移を見ても、価格の高騰具合が見て取れます。(2024年4月現在は340円になっている)
グラフで見る | 法人のお客さま | JA全農たまご株式会社
記録的値上げだった22年を超える23年
去年、2022年は記録的な値上げの1年でした。主要飲食料品メーカー195社における価格改定品目数は、最終的に2万5,768品目でした。
バブル崩壊以降の過去30年間でも類を見ない「記録的な値上げラッシュ」となった2022年でしたが、2023年は更にそれを超える異常な値上げの傾向を見せています。
このように1月~6月だけで既に2万品目に迫る勢いで増え続けています。
23年2月は前年の4倍、3月は2.5倍、4月は4.5倍の品目が値上がりです。
4月以降も値上げ予定品目が続々と増えて続けており、6月までに2万品目を超える勢いです。
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電気代の値上げにより更に物価が高騰
4月から『高圧電力』『特別高圧電力』が値上がりしました。※
受電契約の形態
低圧(住宅・店舗)
高圧(中規模工場・ビルなど)
特別高圧(大規模工場など)
高圧電力の値上げ
2022年で高圧が224%、特別高圧が239%の値上がりしています。
ここから更に23年4月に値上がりしました。
(東京電力は4月から高圧電気料金34%値上げ、沖縄電力は56%値上げです。)
家庭電気料金も6月から大幅に値上げ
4月に値上げ予定だった規制料金が先送りされ、6月になる予定です。
低圧電力(家庭用)には規制料金と自由料金の2種類があります。
自由料金は既に値上げが続いていますが、規制料金はこれから値上げです。
規制料金
規制料金 は、電力自由化 開始以前からある電気料金の種類で、電気料金に上限が設けられています。この上限を変更するには、国に許可を得る必要があります。(現在、家庭用の電気料金は「自由料金」よりも「規制料金」の契約の方が多い傾向があります)
自由料金
電力自由化 以後に設けられ、電力会社それぞれの判断で値上げ可能な電気料金です。
よって、値上げに関して国に許可を得る必要はありません。
政府による補助『激変緩和措置』
自由料金は既に値上げされています。現在は2023年1月から始まった政府による値引き補助(激変緩和措置)で抑えられています。しかし、この軽減措置の期限は9月までとなっているので、また9月以降に高騰の波が押し寄せてくると予想しています。
激変緩和措置(2023.1~9月まで)
低圧:「7円/kWh分」を燃料調整額から値引き
高圧:「3.5円/kWh分」を燃料調整額から値引き
特別高圧:補助対象外
電気料金が青天井で上昇する
燃料費調整制度とは、原油・液化天然ガス・石炭などの化石燃料の価格変動に応じて、電気料金へ反映する制度です。化石燃料相場で料金が上下します。
この燃料費調整額ですが、各電力会社が続々と上限価格撤廃を始めています。
電気という人々の生活に欠かせない生命線を維持するため、もしものときでも電気価格の上昇で人々に負担が最小限で済むように、これまでは燃料調整費に上限価格を設定していました。しかし、去年から続々と上限価格を撤廃する電力会社が増え始めています。上限価格が撤廃されると、化石燃料の高騰によって電気料金が青天井で上昇することになります。
新電力会社の3割が倒産・撤退・契約停止
電力の市場価格高騰が長引き、撤退などに踏み切る新電力会社が増加しています。2021年4月までに登録のあった「新電力会社」706社のうち、2023年3月24日時点で195社(構成比27.6%)が倒産や廃業、または電力事業の契約停止や撤退しました。
新電力の3割近くが“契約停止、撤退、倒産” 1年前の6倍超に 帝国データバンク - ITmedia NEWS
電力会社も赤字が拡大している
企業の物価高倒産、前年の3.4倍
長期化する物価高の状況下、「物価高」が最後の追い打ちとなる倒産は、増加の一途を辿っています。2023 年 3 月単月の倒産件数は 67 件と前月より急増し、9 カ月連続で最多を更新した。全体の倒産件数も増加傾向で推移するなか、「物価高」による倒産の存在感はより高まっており、今後も増加傾向で推移していくものとみられています。
物価高倒産を業種別に見ると、運輸業が特に影響を受けていることがわかります。
これは配送料値上げという形でも表れており、よく通販を利用する人は実感していると思いますが、モノによっては購入商品より配送料のほうが高かったりすることもあります。これは燃料高騰による影響ですが、今後も続けば、物が買えない、更に運送業自体がなくなってしまう可能性も十分にあるかと思います。
「物価高倒産」が3.4倍に 価格転嫁難しい運輸業や製造業が苦境 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
物価高は今後も続くのか?
物価高はいつまで続くのか?という疑問は、物価高の元凶となっている化石燃料価格が今後どうなるかを見ればわかります。
EIA(米国エネルギー情報局)の発表する原油・石炭・天然ガス(LNG)の予測があります。
原油価格予測
石炭予測
天然ガス予測
化石燃料の高騰はまだ続く予想で、どれほどの影響が出るかはわかりませんが、とにかく今後まだまだ物価が下がる見込みがないことがわかるかと思います。
更に化石燃料が高騰する懸念材料
サウジアラビアを中心とする原油国(OPEC)が減産を発表し、原油の急高騰が始まっています。(更に5月からの追加減産も発表された)
また昨年の12月からイスラエルとイランとの間で戦争が激化し続けており、中東は更に不安定な情勢となっています。これらの要因から更なる原材料の高騰、エネルギー高騰となり、物価の上昇は今後も続くと見られています。
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イスラエルとイランの激化する対立はいつまで密かな紛争のままでいられるか
あらゆる物の値段が上がり、物が買えなくなる、もしくはお金があっても商品がお店の棚から消えていく、そのような時代が迫ってきているように感じます。
食料品や日用品の備蓄など、価格が更に高騰する前に、まだ商品が棚に並んでいる内に備えておく必要があるのではないでしょうか。